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根管治療後も痛みが続く原因はファイル破折が原因かも?
■根管治療後も痛みが続く原因はファイル破折が原因かも?
皆さん、こんにちは。福岡市東区香椎浜のあおき歯科・矯正歯科クリニックです。根管治療は、歯の痛みや感染を取り除くために行われる重要な治療です。そんな根管治療後に痛みが続く場合、その原因がファイルの破折である可能性があることをご存知でしょうか?
本コラムでは、根管治療で使用されるリーマーやファイルといった器具について解説し、ファイルの破折が痛みを引き起こす原因や、それを防止するための方法、さらにはファイル破折以外で考えられる痛みの原因についても詳しく説明していきます。根管治療を受けた後も痛みが続いている方や、治療についてもっと知りたい方に向けて、役立つ情報をお届けします。
▼根管治療で使用する器具について
根管治療は、歯の内部にある感染した神経や組織を取り除き、感染が再発しないようにするための治療です。その過程で使用される主な器具が、リーマーやファイルです。これらは、根管を拡大し、感染した組織を削り取るために使用される細長い器具です。プラスチック製の持ち手があり、その下は金属製の針のような構造を採っています。とても細く、耐久性はそれほど高くないため、誤った使い方をすると破折し、根管内に留まる可能性があります。発生率は3~10%と言われています。
▼ファイルの破折が根管治療後の痛みを引き起こす?
根管治療後に痛みが続く場合、その原因の一つとしてリーマーの破折が考えられます。リーマーが根管内で破折すると、破片が残留して炎症や感染を引き起こし、治療後の痛みを悪化させることがあります。このようなケースでは、再度の治療が必要となることが多く、痛みを感じる期間が延びてしまう可能性があります。また、破折したリーマーが取り除けない場合、さらに複雑な治療が必要になることもあります。
▼リーマーによる根管治療後の痛みを防止する方法
リーマーによる痛みを防ぐためには、いくつかのポイントがあります。
◎適切な器具の選択
根管の形状や大きさに適したリーマーを使用することが重要です。適切なサイズとタイプのリーマーを選ぶことで、破折のリスクを低減できます。
◎適切な技術の使用
リーマーを使用する際には、過度な力を加えないようにし、適切な角度と深さで操作することが必要です。これにより、器具の破折を防ぐことができます。
◎器具の状態の確認
使用するリーマーやファイルは定期的に点検し、摩耗や変形がないか確認します。古い器具や劣化した器具を使用すると、破折のリスクが高まります。
◎経験豊富な歯科医師による治療
経験豊富な歯科医師による治療は、リーマーの破折を防ぎ、治療の成功率を高めることができます。技術の習熟度が高いほど、器具の扱いが正確であり、破折のリスクも低減されます。
▼根管治療は保険と自費の選択が大きな分かれ目となる?
リーマーが破折して、根管内にその一部が残存するリスクは、自費診療よりも保険診療の根管治療の方が高くなります。ここではその理由を解説します。
【保険診療の問題点】
◎使用できる器具の制約
保険診療では、根管治療で使用されるリーマーやファイルといった器具に制約があります。特に、保険適用される器具は柔軟性に欠けることが多く、複雑な根管形状に対応するのが難しいことがしばしばです。このため、リーマーやファイルが根管内で破折するリスクが高まり、それが治療後の痛みにつながる可能性があります。
◎肉眼での処置による限界
保険診療では、基本的に肉眼での処置が行われます。肉眼では細かな部分まで確認することが難しく、特に根管内の微細な形状や異物の取り残しが見落とされるリスクがあります。これにより、治療が不完全になり、治療後に痛みが生じる原因となることがあります。
◎時間的な制約による影響
保険診療では、限られた時間内での治療が求められることが多く、特に根管治療においては繊細な作業が急いで行われることになります。時間的な制約により、ファイルの取り扱いが慎重に行われず、破折やその他の問題が発生するリスクが高まります。これが結果として治療後の痛みを引き起こす原因となることがあります。
【自費診療の利点】
◎自費診療での柔軟な器具の使用
一方で、自費の精密根管治療では、最新の柔軟性の高いリーマーやファイルを使用することが可能です。これにより、複雑な根管形状にも対応しやすくなり、器具の破折リスクを低減することができます。柔軟な器具の使用は、治療後の痛みの予防に非常に有効です。
◎マイクロスコープによる視野拡大での精密治療
自費診療では、マイクロスコープを使用して治療を行うことが一般的です。マイクロスコープを使用することで、根管内の微細な部分まで視認できるため、ファイルの破折や異物の取り残しを防ぎ、治療の精度を高めることができます。これにより、治療後の痛みを未然に防ぐことが可能です。
◎時間的な制約のない治療
自費診療では、治療に十分な時間をかけることができます。時間的な制約がないため、ファイルの取り扱いも慎重に行われ、根管内の状態を丁寧に確認しながら治療が進められます。これにより、治療の安全性が向上し、結果として治療後の痛みを軽減することが期待できます。
以上のように、保険診療と自費診療には大きな違いがあります。特にリーマーを使用した根管治療において、どちらの方法を選ぶかは、患者さんの治療後の快適さに大きく影響を与える可能性があります。
▼ファイルの破折以外で考えられる痛みの原因
根管治療後の痛みが続く原因は、ファイルの破折以外にもいくつか考えられます。
◎感染源の残存
根管内に感染が完全に取り除かれていない場合、痛みが再発することがあります。この場合、再治療が必要となることが多いです。もちろん、今回のテーマであるリーマーの破折も感染源の残存に含まれますが、そうした異物が残っていなかったとしても病変の取り残しは十分起こり得るため注意が必要です。
◎根尖病変
根管の先端部分に炎症や感染が残っている場合、痛みが続くことがあります。この場合、外科的な処置が必要になることがあります。具体的には、外科的歯内療法(げかてきしないりょうほう)と呼ばれるもので、歯根端切除術や意図的再植術などが該当します。
◎歯根破折
歯根が破折していると、治療後も痛みが続く可能性があります。歯根破折はX線検査で確認されることが多いです。
◎咬合の不調和
治療後に噛み合わせが悪くなると、痛みや不快感を覚えることがあります。この場合、咬合調整が必要です。
◎歯肉炎や歯周炎
根管治療後に歯肉や歯周組織に炎症が起こると、痛みが続くことがあります。適切な口腔ケアや治療が必要です。
▼まとめ
根管治療後の痛みが続く原因は、ファイルの破折を含むさまざまな要因が考えられます。ファイルの破折は、適切な器具の選択、技術の使用、器具の状態の確認、そして経験豊富な歯科医師による治療で防止することが可能です。
また、ファイルの破折以外にも、残存感染や根尖病変、歯根破折、咬合不調和、歯肉炎や歯周炎といった原因が痛みを引き起こすことがあります。根管治療後に痛みが続く場合は、早めに歯科医師に相談し、適切な対処を行うことが重要です。あおき歯科・矯正歯科クリニックでは、患者さん一人ひとりに合わせた治療を提供し、治療後の快適な生活をサポートいたします。