噛めない、奥歯が折れる…難症例「開咬・臼歯欠損」を矯正・移植・根面被覆など総合治療で改善した一例
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Before
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After
| 初診時年齢 | 52歳 |
|---|---|
| 性別 | 女性 |
| 主訴 | かぶせ物が取れた |
| 治療内容 | 矯正、歯牙移植、根面被覆、精密根管治療、セラミック治療 |
| 治療回数・期間 | 5〜6年 |
| 治療費(治療当時) | 約350万円 |
| リスク・副作用 | 将来的な歯の破折 |

Contents
右下のかぶせ物が取れていることを主訴に来院されました。
前歯が噛んでおらず、常に奥歯に負担がかかっています。この噛み合わせは開咬という状態です。

神経の治療している歯が多く、左下の奥歯は状況が悪く、歯が折れてしまっていました。

左下の奥歯が1本足らないので、左上の歯が落ちてきています。

ここで噛み合わせの異常についてお話しします。
8020運動(はちまるにいまるうんどう)とは80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という目標です。
その達成者は前後左右に動く時、糸切り歯(犬歯)が当たって奥歯が離れる(犬歯誘導により臼歯離開)運動になっています。
それにより歯の残存率が高くなり、さまざまな全身リスクが軽減されます。
しかし、犬歯が当たっていない。反対咬合と開咬の方がどれくらい8020を達成しているかですが

この論文では達成した人がいない。と出ています。
ここで当院に来られている方を紹介します。

2019年当時53歳の方でした。
開咬の状態でした。
噛み合わせを改善するには矯正するしかないのですが、患者さんは希望されませんでした。

その後メインテナンスにしっかり定期的に通っていただいているのですが

崩壊の波はとめることはできず、奥歯は入れ歯になり

15年の間で5本失ってしまっています。
もう一度症例に戻ります。
今回、いろいろな治療方法を説明しましたが矯正治療も含め治療していくことになりました。

まずかぶせ物の根の治療をし、仮歯に全部変えました。

ブラケットを装着しワイヤーで矯正をスタートしました。

元々矯正は2~3年かかることをお伝えしていたのですが、気持ち悪さがあるので
どうしても外したいと言われました。

ワイヤー矯正前後で噛み合わせが良くはなっていますがまだ噛みが悪い状態です。

元々の計画で左下が折れてしまっている部分は抜歯後、インプラントではなく親知らずを移植して対応することにしていましたので
移植を2本おこないました。

その後患者さんと話し合いのもと、
マウスピース矯正をおこなうこととなりました。

違和感もほとんどない。ということでした。

矯正が終了した状態です。

矯正前もありましたが、前歯の歯肉退縮のため、歯根露出がおこっています。

歯肉移植による根面被覆をおこなうこととしました。

根面被覆の前後です。

治療前後で改善がみられます。

1本ずつ歯肉圧排をし、しっかりとした模型を作製していきます。

一度、ファイナルプロビジョナル(仮歯)を装着し

見た目、しゃべり具合、仮歯の脱離や破損が起こらないか、などを確認して、最終補綴装置を作製していきます。

患者さん固有の、顎の動きをしっかり計測し、(通常作製するときは平均値で作製)

最終補綴装置(セラミック)が完成しました。

歯肉の状態もよく、炎症もみらません。

歯列全体の術後レントゲン画像です。根尖部の透過像も治癒し、移植した歯も安定しています。

咬合の安定とともに、審美性も大きく改善された術後の状態です。

術前は顔の左右差や筋緊張のアンバランスが認められました。

術後は対称性が改善し、表情にも自然なバランスが生まれました。

開咬と前歯部の不正咬合により、スマイル時の調和が欠けていました。

自然な前歯の露出が得られ、美しい笑顔が実現しました。

口元が突出し、軟組織のプロファイルにも影響が見られました。

矯正治療後はプロファイルが整い、より自然な印象になりました。

臼歯部の咬合不良が口元の張り出しに繋がっていました。

咬合が整ったことで、口元の緊張も緩和されています。

開咬状態だった術前が、しっかりと犬歯誘導ができる噛み合わせになり、安心して予後を見ることができます。



