親知らずは虫歯になりやすい?放置するリスクと治療法・予防のポイントを解説
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虫歯編〜ダイレクトボンディング 〜
皆さん、こんにちは。福岡市東区香椎浜のあおき歯科・矯正歯科クリニックです。「親知らずは虫歯になりやすい」という話を耳にしたことがある方は多いでしょう。確かに親知らずは虫歯のリスクが高い歯ですが、痛みがあるからといって必ずしも虫歯とは限りません。炎症などが原因の可能性も考えられます。
また、親知らずの虫歯治療は通常の虫歯とは異なり、進行度合いによっては早期の抜歯が推奨されることがあります。そのため、どのような場合に抜歯が検討されるのかを知っておくことが大切です。
この記事では、親知らずが虫歯になりやすい理由、具体的な治療方法とその費用、そして虫歯を予防するための対策について詳しく解説していきます。
親知らずと虫歯の関係性
親知らずとは
親知らずとは、一番奥の奥歯に位置する歯のことです。永久歯は通常15歳頃までに生え揃いますが、親知らずは10代後半から20代前半にかけて、他の永久歯よりも遅れて生えてきます。
その生える時期から、親がその存在を知らないうちに生えてくるという意味合いで「親知らず」と呼ばれるようになったと言われています。
親知らずの生え方には個人差が大きく、主に以下の3つのタイプに分けられます。
- まっすぐ正常に生えてくるタイプ
- 歯茎の中に完全に埋まっている埋伏タイプ
- 手前の歯に向かって斜めに生えてくる傾斜タイプ
また、親知らずは上下どちらか一方にしか生えてこないというケースも珍しくありません。
親知らずは虫歯になりやすい
親知らずは、その特有の生え方や位置から、虫歯になりやすい傾向があります。主な理由として、以下の3点が挙げられます。
- 奥に位置するため歯磨きが難しい:口の最も奥に生えているため、歯ブラシが届きにくく、しっかりと汚れを落とすのが困難です。
- 斜めに生えている場合の清掃不良:傾いて生えていると、隣の歯との間に歯ブラシが届きにくい隙間ができやすく、そこに汚れが溜まりやすくなります。
- 埋まっている部分が多いとさらに磨きにくい:歯茎に深く埋まっている場合、手前の歯が邪魔になり、親知らずの表面や周囲を十分に清掃することが難しくなります。
このように、親知らずは汚れが蓄積しやすいにもかかわらず、歯磨きがしづらい環境にあるため、虫歯のリスクが高まると考えられています。
「親知らずの痛み=虫歯」とは限らない
親知らずが痛む場合、虫歯以外にも様々な原因が考えられます。例えば、親知らずの周囲に汚れが溜まると、細菌が繁殖して歯茎に炎症を引き起こし、痛みが生じることがあります。
この親知らず周辺の歯茎の炎症は「智歯周囲炎」と呼ばれます。智歯周囲炎が悪化すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 喉の痛みを感じる
- 口の開け閉めが困難になる
- 顎の骨や筋肉の中に膿が溜まる
- 親知らずの周りが大きく腫れる
- 激しい痛みが生じる
したがって、親知らずに痛みを感じた場合は、自己判断せずに歯科医院を受診し、正確な診断を受けることが重要です。
親知らずの虫歯を放置するとどうなる?
親知らずに限らず、虫歯を放置すると歯は徐々に崩壊し、最終的には大きな穴が開いてしまいます。虫歯は自然に治癒することはないため、放置すればするほど症状は悪化の一途をたどります。
親知らずを放置したためにできる虫歯
このように親知らずが隣の歯に食い込んでいる場合、磨きにくく物がつまりやすいので
虫歯になってしまします。
通常深い虫歯を削ると右のレントゲンみたいに神経を取る治療が必要になります。
そうなると歯の寿命がかなり悪くなります。
歯がボロボロになり、穴があく
虫歯が進行すると、歯の組織が破壊され、原型を留めないほどボロボロになったり、大きな穴が開いたりします。
神経まで侵食される
放置された虫歯は、やがて歯の神経まで進行します。神経が虫歯菌に侵されると、歯が壊死し、場合によっては歯茎を切開するなどの大がかりな治療が必要になることもあります。早期の受診が重要です。
隣の歯も虫歯になってしまう
親知らずの虫歯を放置すると、その虫歯菌が隣の健康な歯にまで感染し、新たな虫歯を引き起こす可能性があります。さらに、その虫歯がまた隣の歯へと広がる連鎖反応を起こしやすくなります。
激しい痛み、腫れ、口臭などの症状がでる
親知らずが虫歯になると、膿が溜まったり、虫歯の進行によって激しい痛みや腫れ、不快な口臭が生じることがあります。これらの症状が現れた際は、虫歯がかなり進行していると考えられるため、すぐに歯科医院を受診しましょう。
親知らずの虫歯の治療方法
ダイレクトボンディング
そこで健康な歯をできるだけ削らず、歯を長持ちさせる治療法を紹介します。
右下(正面から見て左)の親知らずが原因で隣の歯が虫歯になっています。
その部分は特に症状はありません。(物はつまりやすいそうですが)
隣の必要な歯に食い込んでいて歯磨きがしづらい状態です。
この歯を通常治療した場合、右図のように健康な部分を削らないといけなくなり。
レントゲン上はこのようになります。
場合によっては神経を取る必要がでてきます。
しかし、歯を長持ちさせたいという希望があったので、ダイレクトボンディング
で治療を行うことにしました。
ダイレクトボンディング治療中の写真
上左:パッと見た感じはあまり大きそうではありません。
上中:虫歯の全容を見るため歯と歯茎の間に糸をいれます。(歯肉圧排)
上右:虫歯が見えてきました。
歯肉圧排は出血をおさえるという目的もあります。
下左:手前に戻ってくるような特殊な器具で削ります。
下中:通常の丸い削る道具では、虫歯にアクセスできません。
下右:虫歯だけ染まる液体を使用し、虫歯の取り残しを確認します。
上左:青く染まっている部分を取り除きます。
上中:1枚のミラーで見えない部分はもう1枚小さいミラーを使用し確認します。
上右:プラスチックを流し込んでいきます。
下左:しっかり凸面ができるように表面張力を利用し、詰めていきました。
下中:ヤスリで綺麗に磨いていきます。
下右:段差のない精密な治療ができました。
2014に親知らずを指摘しましたが、抜きたくないと言われました。
やはり放置していると虫歯が進んでいっているのがわかります。
(黒くなっていってる)
神経に近接する虫歯になってしまいました。
このような状態では、私でもきちんと磨く自信がありません。
2020に抜歯することにしましたが、かなり大きな虫歯が存在します。
あとは先ほどと同じ治療の流れですが、大きく違うのは虫歯が深く、
治療中に神経が露出してしまいました。
ダイレクトボンディングページはこちら>>
MTAセメント
止血できたのを確認して
左下の写真のようにMTAセメントを使用して神経を残しました。
そして同じようにプラスチックで精密に詰めました。
まずは親知らずを放置しないことですが、できてしまった虫歯に対して
健康な歯をできるだけ削らず、神経を取らずに治療できれば
歯の寿命もかなり長くなります。
MTAセメントについてはこちら>>
親知らずを虫歯にしないための予防策
親知らずを虫歯から守るためには、日頃のケアが非常に重要です。具体的な予防策として、以下の3つが挙げられます。
正しい歯磨きを徹底する
親知らずは奥に位置し、歯ブラシが届きにくいため、様々な角度から丁寧に磨くことを心がけましょう。もし通常の歯ブラシでは磨きにくいと感じる場合は、ヘッドが小さく、先端が細くなっているタフトブラシを活用するのも有効です。特に、歯と歯の間の隙間は汚れが溜まりやすいので、意識して磨きましょう。
ケアグッズを効果的に活用する
毎日の歯磨きに加えて、以下のケアグッズを取り入れることで、より一層虫歯予防の効果を高めることができます。
- デンタルフロス
歯と歯の間の細かい汚れをしっかりとかき出すのに役立ちます。 - 歯間ブラシ
歯と歯の隙間が広い部分の汚れを除去するのに適しています。 - フッ素入り歯磨き粉
歯の再石灰化を促進し、虫歯になりにくい歯質へと導きます。 - マウスウォッシュ
口の中の細菌を減らし、清潔な状態を保つのに役立ちます。
歯科医院での定期検診を欠かさない
自身でのケアだけでは落としきれない汚れを専門的にクリーニングしてもらうとともに、虫歯の早期発見や適切なアドバイスを受けるために、定期的に歯科医院を受診しましょう。